オファーレターに SO/RSU が出てきたら
スタートアップや外資テックのオファーレターを受け取ると、現金給与 + ストックオプション(SO)または RSU(Restricted Stock Unit)の組み合わせが提示されます。
多くの転職者がここで失敗します:
- SO の「期待値」を過大評価して低めの現金給与で承諾
- RSU の vesting スケジュールを理解せず短期で離職
- 税務処理を考慮せず実質手取りを誤算
本記事では、SO / RSU の評価方法と交渉時の具体的アプローチを解説します。
ストックオプション(SO)の基本
仕組み
- 入社時に「将来、現在の株価で株を買える権利」を付与
- 行使価格(Strike Price)と権利確定(Vesting)スケジュールが設定される
- 会社が成長 → 株価が上がれば、行使価格との差額が利益
典型的なベスティング
- 4年間で 100% 確定(25% / 年)
- Cliff: 1年経過まで何も確定しない(早期退職を防ぐ)
- 例: 4年間勤務で全権利確定、3年で離職なら 75% のみ
期待値の計算(スタートアップの場合)
SO 期待値 = 付与株数 × (推定 Exit 時株価 - 行使価格) × Exit 確率
例: 10,000株 × (推定 Exit 時株価 5,000円 - 行使価格 500円) × Exit 確率 30% = 10,000 × 4,500 × 0.3 = 1,350万円
注意点:
- Exit 確率は通常 10-30%(業界・フェーズによる)
- Series A 以前は 5-10% で見るのが堅実
RSU(Restricted Stock Unit)の基本
仕組み
- 「条件付き株式付与」、SO と違って 行使価格はゼロ
- ベスティング日に株式が直接付与される
- 上場企業(外資テック)で主流
典型的なベスティング
- 4年間で 100%(25% / 年、Quarterly Vesting が多い)
- Cliff 期間あり / なしは企業による
- Google: Front-loaded(最初の方が多い)
- Meta: Linear(均等)
期待値の計算
RSU 期待値 = 付与株数 × 現在の株価
例: 200株 × 現在の株価 75,000円 = 1,500万円(4年間で)
注意点:
- Vesting 日の株価で評価益課税が発生
- 売却時にさらにキャピタルゲイン課税
税務上の注意点(日本居住者の場合)
SO(適格 SO の場合)
- 行使時は課税なし
- 売却時にキャピタルゲイン税(20.315%)
SO(非適格 SO の場合、多い)
- 行使時に給与所得として課税(最大 55%)
- 売却時にキャピタルゲイン課税
RSU
- Vesting 時に給与所得として課税(最大 55%)
- 売却時にキャピタルゲイン課税
注意: 外資系 RSU は Vesting 時の税負担が大きいため、現金化スケジュールを事前に計画する必要があります。
交渉での具体的アプローチ
アプローチ1: 現金給与を優先する場合
「SO の期待値は不確実性が高いため、現金給与を 〇〇万円上げていただけませんか。SO は提示の半分でも構いません」
→ 確実な手取りを優先したい人向け
アプローチ2: SO/RSU を増やす場合
「現金給与は提示の通りで構いません。SO/RSU を 1.5倍に増やすことは可能でしょうか」
→ 会社の成長を信じる人向け
アプローチ3: サインオン・ボーナス追加
「初年度のキャッシュフロー確保のため、サインオン・ボーナス 〇〇万円を追加していただけませんか」
→ 引越し費用 / 一時的な現金ニーズがある人向け
入社前に確認すべき5項目
- 行使価格 / Strike Price(SO の場合)
- Vesting スケジュール(Cliff、Quarterly / Yearly)
- 税務上のステータス(適格 / 非適格 SO、外資系 RSU の日本での課税方法)
- 退職時の SO/RSU の扱い(未確定分は失効、確定分は保持等)
- Refresher Grant の制度(毎年追加付与があるか)
ケーススタディ: 外資テック A社のオファー
- 現金給与: 1,200万円
- RSU: 4年間で 600株(現在の株価 80,000円)
実質年収:
- 初年度: 1,200万 + 600株/4年 × 80,000円 × 25% = 1,200万 + 300万 = 1,500万円
- 株価が 1.5倍になれば: 1,200万 + 450万 = 1,650万円
- 株価が 0.5倍になれば: 1,200万 + 150万 = 1,350万円
意思決定: 4年間 1,500-1,650万円のレンジで安定 → 日系大手 1,400万円 のオファーと比較すべき。
AI で「オファー比較」を客観化
キャリアバンクAIのオファー比較ツールでは:
- 複数オファーの SO/RSU を期待値ベースで比較
- 税引き後の実質手取りを 4-10年で計算
- 業界別の Exit 確率や株価上昇率をもとに推定値を算出
まとめ
SO / RSU は「将来の期待値」ではなく「確率付きの期待値」で評価する。
- 現金重視 → 給与アップ交渉
- 成長期待 → SO/RSU 増加交渉
- 不確実性嫌い → サインオン・ボーナス追加
オファーを受けたら、必ず「税引き後の実質手取り」を 4年間ベースで計算してから返答してください。
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